医師

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01 秘密のポケット

病気やケガをした人を治す医師が持つ道具といえば

  • 聴診器ちょうしんき

    心臓の音や肺の呼吸など、聞こえにくい小さな音をききます。救急外来や病棟びょうとうでの診察しんさつでは必要不可欠です。

  • ペンライト

    瞳の中の光反射や、口の中をみるために使います。

  • 打腱器だけんき

    神経を調べるときにひじや手首、ひざの関節付近の腱けんを打腱器でたたいて反応を調べます。

  • 対光反射:瞳孔どうこう反射の一つで、目に光をあてて瞳孔の直径を光の強さにより変化させ、網膜もうまくに届く光の量を調節する反射のこと。

  • 口腔内:口からのどまでの部分。

02 どんな仕事をするの?

医師は、あらゆる医療いりょうの場で、病気やケガに苦しんでいる患者かんじゃを治し、回復をうながします。その仕事は、内科、外科、小児科、産婦人科など、専門分野ごとに細かく分かれています。また、総合診療しんりょう医といって、細かな専門分野に分かれずに診療を行う医師もいます。

どの分野でも最初に患者を「診察しんさつ」し、結果をふまえて、病状を説明して治療したり、手術をしたりします。

03 どんなところ(場所や場面)で働くの?

医師は、病気やケガの診断しんだんや治療ちりょう※1、予防、リハビリテーションに当たる「臨床りんしょう医」と、基礎きそ医学※2を研究する「研究医」と、大きく2つに分かれます。

働き方も自分で医院を開業するか、病院や診療所しんりょうじょに勤めるか、大きく2つに分かれます。いずれも非常に責任のある役割を果たしています。

いっしょに仕事をする仲間たちを引っ張り、時に患者かんじゃや家族を元気づけることも必要になる医師は、リーダーシップと人を思いやる優しさが求められます。

  • 治療:手当てなどをして、病気やケガを治すこと。
  • 基礎医学:人体のつくりと病気のなりたちについて学ぶ学問。

働く場所

  • 総合病院 / 臨床りんしょう

    総合病院は、多くの診療科しんりょうか※1と病床びょうしょう※2を備えている、地域の中心となる病院のことです。外来診察がいらいしんさつ※3の後に検査や入院が必要となった場合でも、病院内で対応できる可能性が高くなります。また、複数の病気をかかえているなど、一つの診療科の病院では対応できない患者かんじゃを受け入れることができます。

    • 診療科:内科や外科や眼科など、専門に診療する分野。
    • 病床:病人のベッド。
    • 外来診察:病院に通って、診察を受けること。
  • 診療所しんりょうじょ / 臨床りんしょう

    医院、クリニックとも呼ばれ、主に外来の患者かんじゃを診察しんさつします。医療法いりょうほう※1では、患者が入院する施設しせつを伴わいないもの、または19人以下の患者が入院できる施設を伴うものを診療所と定めています。診療所は、主にプライマリ・ケア※2の役割を担い、かぜや腹痛など身近な病気の外来診察を中心に行っています。また、普段ふだんから気軽に受診じゅしんすることができるよう、必要であれば総合病院を紹介しょうかいするといったような、かかりつけ医の役割も持っています。

    • 医療法:病院・診療所・助産所の開設や管理などを定めた法律。
    • プライマリ・ケア:常日ごろから何でもみて、相談にのってくれる身近な医師による総合的な医療。
  • 介護老人保健施設かいごろうじんほけんしせつ / 臨床りんしょう

    介護老人保健施設は、「老健」とも呼ばれ、近年、増加しています。老健は、病気やケガなどで入院した高齢者こうれいしゃが、退院後にリハビリなどを行い、在宅復帰を目指す施設しせつです。看護師、介護士、理学療法士、栄養士など、様々な職種のスタッフがチームとなって入所者をサポートします。医師は、スタッフと協力して入所者の健康管理を行い、中心的な役割を担います。

    「特養」とも呼ばれる特別養護老人ホームは、原則として自宅での生活が困難な要介護3以上の高齢者が対象です。

  • 保健所 / 公衆衛生医師こうしゅうえいせいいし

    地域保健法に基づき、全国の都道府県や政令指定都市・中核都市には、保健所を設置することが定められています。その際、保健所長は原則として医師であることも定められています。保健所で働く医師「公衆衛生医師」の仕事は、感染症かんせんしょう※1の予防、災害時の住民の健康対策、地域保健と健康づくり、さらには地域包括ちいきほうかつケアシステム※2の推進や健康危機管理、保健所が調整役となり関係機関等と協働しながら支え合う基盤きばんづくりなど、広い分野にわたっています。近年では、COVID-19新型コロナウイルス感染症対策の中心的な役割を担っています。

    • 感染症:細菌さいきん・ウイルス・寄生虫などの感染で起こる病気。2021年に世界中に広がった「新型コロナウイルス感染症」も感染症の一つ。

    • 地域包括ケアシステム:介護かいごが必要になっても住み慣れた地域で、自分らしい生活を最後まで続けることができるように、地域内で助け合う体制。

  • 製薬会社 / メディカルドクター

    製薬会社に勤務して、薬の研究開発や新薬の安全性・有効性を検証し、その結果を関係機関に提示していく仕事です。メディカルドクターは、「臨床開発りんしょうかいはつ※1」「安全性評価※2」「市販後調査※3」と、3つの部門にかかわります。

    • 臨床開発:国に製造と販売はんばいの承認をうけることを目的に、薬の開発を行うこと。

    • 安全性評価:薬に期待していない作用や好ましくない作用の情報を集めて、安全に使えるかを見定めること。
    • 市販後調査:販売はんばいされた後の薬の有効性と安全性の確認、販売前のテストで得られなかった新たな作用や好ましくない作用に関する情報収集のために行われる調査のこと。

  • 大学や研究所などの専門機関 / 研究医

    大学や研究所などで、まだ治療ちりょうや完治かんち※1が難しい病気の研究などを行います。また、次々に新しいウイルスを媒介ばいかい※2して発生する感染症の予防のための研究も、研究医の役割です。研究や実験の成果は、論文※3にして発表します。

    • 完治:病気やケガが完全に治ること。
    • 媒介:2つのものの間に存在して、両者に影響えいきょうを与えること。

    • 論文:意見を述べて議論する文章。特に、研究の成果について、筋道を立てて述べた文章。
  • 開発途上国(国際協力医)や日本国内のへき地や離島

    国際連合(WHO、ユニセフ等)などの国際機関、外務省の国際協力機構(JICA)など政府機関、民間のNGO(非政府組織)、民間の会社(開発コンサルタント会社など)などでも医師を雇用こようしています。そして、開発途上国かいはつとじょうこく※1で国際協力を行っています。

    また、国内のへき地※2や離島りとう※3、特に医師がいない地域では、自治体などから派遣はけんされた医師が、医療いりょうに従事しています。

    • 開発途上国:産業が十分に発展しておらず、経済力がまだ十分ではない国のこと。
    • へき地:都会から遠くにあって、交通に不便な土地。
    • 離島:陸から遠くはなれた島。はなれ島。

働く場面

  • 地域 / 訪問診療しんりょう医:訪問医療いりょう

    地域における訪問診療とは、病院へ通うことが困難な患者かんじゃの家を、医師が直接訪問して診療することをいいます。病院や診療所と同じように診療計画を立て、医学管理のもと定期的に健康管理を行い、体調の悪化を未然に防ぐ役割も持っています。通院の負担軽減、24時間365日体制の対応、診察しんさつや治療ちりょうに加え、予防接種や薬の処方、栄養状態の管理など、体調に関わることであれば何でも相談できるメリットがあります。

    これとは別に、急に体調が悪くなった時など、患者や家族からの連絡を受けて訪ねる場合は「往診おうしん」といい、「訪問診療」とは少し意味が異なります。

  • 学校 / 学校医:健康診断

    学校保健安全法では、学校ごとに学校医をおくことを定めています。医師は、学校から委任されて、その学校の衛生事務や児童・生徒の健康診断しんだん、感染症が流行した場合の助言を行い、地域の医師会や行政とともに子どもたちを見守ります。

  • 企業 / 産業医:健康相談や職場の見回り等

    労働安全衛生法では、常時50人以上の労働者が働く職場の会社に、産業医の選任を義務付けています。産業医は、会社と約束を交わし、職場内の見回りをしたり、作業環境さぎょうかんきょうによる健康の危険度を確認したりして改善を図ります。それだけでなく、健康に関する教育や労働衛生に関する教育をするなど、様々な仕事をします。

  • 警察 / 警察協力医または警察医:検死等

    DMAT(Disaster Medical Assistance Team:災害派遣医療いりょうチーム)は、災害の発生現場に速やかに向かい、救助活動とともに医療活動を行います。発生直後おおむね48時間以内に活動できるよう、医師を含む複数人の医療スタッフで構成され、関係機関と連携れんけいしながら活動します。

    MATは、基本的に1チームおよそ5人で、医師1人と看護師2人、業務調整員2人(救急救命士、薬剤師など医療職および事務職員)で構成されます。日本DMAT(厚生労働省によって発足)と都道府県DMATの2つの組織があります。

    DMATとは別に、日本医師会が組織するJMAT(Japan Medical Association Team:日本医師会災害医療チーム)もあります。こちらは、DMATを引きつぐ形で活動し、現地の医療体制が回復するまで医療支援を行います。

  • 災害現場 / DMAT(ディーマット)、JMAT(ジェイマット)

    警察から委任されて医療業務や検死けんし※1などに従事する医師を警察協力医、または警察医といいます。

    人が亡くなった時には、医師が死亡診断しんだん書を作成します。病気で人が亡くなる時には、かかりつけ医や入院中の担当医が死亡診断書を作成します。しかし、死亡からかなりの時間が経っていそうな場合や、突然とつぜん死亡してしまい死因が不明の場合、死亡診断書は作成できません。その場合、変死や異常死と判断され、警察官による検視の後、死体検案をたのまれた医師によって死体検案書が作成されます。

    検死しても死因しいん※2が不明なままの場合は、行政解剖ぎょうせいかいぼう※3が行なわれます。これは「監察医かんさつい※4が担当します。

    • 検死:死体を医師が調べること。
    • 死因:死亡の原因。
    • 行政解剖:死因を調べる目的で行われる解剖。
    • 監察医:行政解剖を行い、死因を解明することを任務とする医師。
  • スポーツやイベント / スポーツ医・イベント派遣ドクター

    スポーツによるケガの治療ちりょうだけでなく、予防や栄養など、アスリートやスポーツをする人々を心の面からもサポートするのがスポーツドクターです。

    スポーツドクターになるためには、医師免許めんきょ以外にも資格が必要です。日本での資格は、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本医師会認定健康スポーツ医があり、それぞれ特徴とくちょうがあります。

    また、マラソン大会や駅伝大会、モータースポーツなど、ケガや急変のリスクがあるイベントでも救護として医師が待機します。

仕事の様子を動画で見てみよう

04 どうしたらなれるの?進学フロー

医師は、人の命をあずかる責任の重い仕事です。医師になるためには、大学の医学部で6年間基本教育を学び、医師国家試験に合格する必要があります。医師になった後も、臨床研修などの研修を行うなど、勉強を続けていきます。

進学フロー

インタビュー動画 実際に見てみよう

05 職業を知りたい時におすすめの漫画、書籍、ドラマなど
ドラマコード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~
漫画またはアニメブラック・ジャック手塚治虫秋田文庫ほか
漫画またはドラマブラックジャックによろしく佐藤秀峰小学館ほか
漫画またはドラマコウノドリ鈴ノ木ユウ講談社
漫画またはドラマ監察医 朝顔作画:木村直巳 / 原作:香川まさひと / 監修:佐藤喜宣実業之日本社
漫画またはドラマ医龍作画:乃木坂太郎 / 原案:永井明 / 監修:吉沼美恵小学館
漫画またはドラマJIN-仁-村上もとか集英社
漫画またはドラマDr.コトー診療所山田貴敏小学館

360°ビュー

06 福島ではどれくらいの人が働いているの?

3819人