看護師

01 秘密のポケット

医師の診療しんりょう※1の補助をしたり、患者かんじゃの世話をしたりすることが主な仕事の看護師が持つ道具といえば

  • ボールペン

    最近は、電子カルテ化が進んでいますが、数値を書き留めたり、サインをしたり、現場に欠かせないアイテムです。記入する時に、色分けができる3色ボールペンが便利です。

  • 医療いりょう用ハサミ

    医療用テープや薬のふくろを切るなど、いろいろな場面で使います。先が丸くなっているものやガードが付いているデザインのものもあります。

  • 秒針のある時計

    呼吸数や脈拍みゃくはく測定、不整脈ふせいみゃく※2がある場合など、秒数をみることが多い看護師には、同じ時計でも秒針のあるものが便利です。

  • 1 診療:医師が患者をみて、病気やケガを治すこと。

  • 2 不整脈:脈のリズムが異常になる病気。

02 どんな仕事をするの?

医師の仕事を助け、赤ちゃんから高齢者こうれいしゃまで、病気やケガを抱えている人の治療ちりょうや生活をサポートしたり、患者かんじゃや家族の相談に応じたりします。男性看護師も増えています。

03 どんなところ(場所や場面)で働くの?

働く場所

看護師は、病院や診療所のほかにも、訪問看護ステーションや介護老人保健施設(老健)、介護老人福祉施設など、近年活躍の場がどんどん広がっています。

  • 病院(外来看護師)

    医師の外来診療しんりょうを補助します。病気を持つ人、あるいはケガや体調不良の人が訪れる外来には、1日に多くの人が訪れます。

    例えば、腹痛の患者かんじゃならベッドにねかせ、医師が診察しんさつしやすいように患部かんぶ※1が見えるようにしたり、ケガをした患者の包帯を外し、治療ちりょうに必要なものを用意したり、患者の血圧測定、採血、注射、点滴てんてきなどの仕事をします。

    また、医師が決めた治療方針を患者へ伝えたり、入院が決まった患者の病状や検査結果を入院先の病棟びょうとうスタッフと共有したりすることも重要な仕事になります。

    • 患部:病気や傷のある部分。
  • 病院(救急外来看護師)

    夜間・休日を問わず24時間体制で、救急診療きゅうきゅうしんりょうを行う救命救急センターで働く看護師です。命の危機がせまる現場では、医師と同様、判断力とスピード、確かな技術が求められます。心臓や呼吸が止まりそうな患者かんじゃへの救急蘇生そせい処置、外傷がいしょうや骨折の処置などを介助かいじょ※1します。ドクターヘリや災害現場などで、向かった先で処置の優先順位をつける「トリアージ」を医師と行うのも救急看護師の役割です。

    • 介助:そばに付きそって、世話をして助けること。
  • 病院(病棟看護師)

    24時間交代制で入院患者かんじゃの看護を行います。担当する患者それぞれに立てる「看護計画」に沿って、入院中の生活のすべてをサポートします。

    例えば、注射、点滴てんてき管理、ガーゼ交換こうかん、投薬などの医療いりょう処置のほか、医師の指示に従って血液検査や尿にょう検査、治療ちりょうや検査場所への移動介助かいじょなどを行います。

    ほかにも定期的に検温、呼吸器・心電図モニターのチェックをして、変化を観察し、カルテに記録します。患者の食事や排泄はいせつ※1の介助、清拭せいしき※2、ベッドまわりの整頓せいとんをし、入院患者と家族の相談相手になるのも病棟びょうとう)看護師の仕事です。

    勤務は、2交代もしくは3交代の交代制勤務で、土日の出勤や夜勤、早朝勤務や深夜勤務がある場合もあります。

    • 排泄:体内にある不要な物質を体外に出すこと。
    • 清拭:体をふいて清潔に保つこと。
  • 病院(手術室看護師)

    「器械出し(直接介助かいじょ」と「外回り(間接介助)」と、大きく2つの役割があります。

    「器械出し」は、手術の進行がスムーズにいくよう必要な機器・機材を医師にタイミングよく手わたす仕事です。

    「外回り」は、手術前・手術中・手術後の患者かんじゃのケア、病棟びょうとう看護師やICU看護師への引きつぎ、輸血血液の管理、手術室の室温や照明の調整、物品の補充ほじゅう、各種生体情報モニターにより患者の状態をモニタリングし続ける(手術中)など、器械出し以外の仕事をします。

    また、執刀医しっとういや麻酔科医ますいかい、ほかの部署との連携れんけいも手術室看護師の重要な仕事です。手術終了しゅうりょう前には、器械出しと外回り看護師が協力し、器械・針・ガーゼなどの数のカウントを行い、患者の体内に異物が残らないようにも努めます。

  • 病院(ICU看護師)

    大手術の直後、交通外傷こうつうがいしょう※1、多臓器不全たぞうきふぜん※2など、「超ちょう急性期」と呼ばれる、非常に病状の重い患者かんじゃが集まるICU(集中治療ちりょう室)に勤める看護師です。

    ICUで24時間集中治療を行う患者は、いつ急変してもおかしくない状態にあります。異常の早期発見が最優先です。さまざまなモニターによる情報や、尿にょう量の確認などを通して全体をよく観察して、体内で起きていることを予測することで、異常の早期発見につなげます。

    人工呼吸器や輸液ポンプなどで患者の全身管理も行うため、データから患者の状態を読み取る知識や、さまざまな医療いりょう機器をあつかうことのできる技術が必要となります。

    • 交通外傷:車や電車などの交通機関によって受ける大ケガや病気のこと。

    • 多臓器不全:生きるために必要な、心臓、腎臓じんぞう、肝臓かんぞう、肺などの臓器のうち、単一ではなく複数の臓器が同時的に十分に機能しなくなる状態のこと。

  • 病院(NICU看護師)

    NICU(新生児集中治療ちりょう室)では、早産などで産まれた低体重児や、先天性の重い病気をもつ新生児に、24時間体制で医療いりょうを提供します。NICU看護師は、新生児と母親、家族のケアを担当します。

    バイタルサインチェック※1や、呼吸器の管理、点滴てんてきや経鼻けいび栄養チューブ※2が正しく装着されているかの確認などを、定期的に行います。また、母親の代わりに2~3時間おきにミルクを与えたり、おむつ交換、沐浴もくよく※3、清拭せいしきなどを通して赤ちゃんを清潔に保ったりするのもNICU看護師の役目です。

    • バイタルサインチェック:「脈拍みゃくはく」「血圧」「呼吸」「体温」の数値を測定して、健康状態を知ること。

    • 経鼻栄養チューブ:鼻の穴から体内に栄養を送るためのチューブ。

    • 沐浴:赤ちゃんのからだを洗うこと。
  • 病院(産科看護師)

    命の誕生「出産」を中心に、その前後を医師と助産師とともに、ケア・サポートします。

    医師の診察しんさつの補助はもちろん、妊娠にんしん中の生活指導、健診の案内、さらには不安定になりがちな妊産婦にんさんぷの精神的な支えとなり、心身のケアとサポートを切れ目なく行います。

    妊婦のバイタルサインチェック、体重・腹囲計測、各種検査の補助(採血など)、診察の介助かいじょ、エコー診断しんだんの準備など、出産時のモニターチェック、入院時のケア(検温・点滴てんてきの管理、清潔ケア)、出産後の母子のケア(検温・採血、沐浴もくよく、授乳の指導)などがあります。

  • 保育園や幼稚園、認定こども園

    保育園や幼稚園、認定こども園が職場です。アレルギーや内服のある園児の管理、園児の健康を維持するための見守りのほか、風邪や感染症予防の対策などを行います。ケガや病気になったときの判断も求められます。交通安全など安全管理も大切な仕事です。

  • 介護老人保健施設(老健)

    介護老人保健施設かいごろうじんほけんしせつは、病気や骨折などで入院した高齢者こうれいしゃが、退院後にリハビリなどを行い、自宅に帰ることを目指す施設です。医師、介護士、理学療法士りがくりょうほうし、栄養士など、さまざまな職種のスタッフがチームとなって入所者をサポートします。看護師は、主に医療的いりょうてきケアや日常生活動作を続けることや改善することを支えます。

  • 介護施設

    介護施設かいごしせつには、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、グループホーム、デイサービスなど、さまざまな種類があります。いずれも治療ちりょうや退院が目的の病院とは異なり、介護施設は生活の場として、入居者・利用者が、その人らしく暮らせるかが大切なポイントになります。医師が常にいない施設も多いので、看護師は常日ごろの健康管理に加えて、感染症対策なども中心となって取り組みます。

    日々の仕事の例:バイタルサインチェックをする。薬を配る準備をしたり、飲む薬の管理をしたりする。インスリンの管理をしたり、注射したりする。鼻や口や気管などにたまった鼻汁びじゅうやたんの吸引をする。チューブを通して食事をする経管栄養の管理を行う。ねたきりなどによって血流が悪くなってできてしまう傷の処置をする。慢性まんせい呼吸不全などで、酸素を体の中に取りこめない患者かんじゃが、病院の外で自ら酸素を吸入しながら生活する治療法である在宅酸素療法の管理を行う。手術などによっておなかに作られた便や尿にょうの出口となるストーマ(人工肛門こうもん)の管理やケアを行う。訪問診療しんりょう時の診察介助をする。感染症かんせんしょう対策を行う。転倒てんとう・転落防止などの安全対策を行う。看取りやターミナルケアを行う。

  • 治験コーディネーター

    治験とは、新しい医薬品を開発する際に、人にどのような効果があって、いかに安全かを確かめる段階で、臨床りんしょう試験を行うことをいいます。

    治験コーディネーターは、治験業務の現場で治験を求める製薬会社と、治験を行う医療いりょう機関の間に立ち、全体をまとめます。

    看護師資格を活かしながら治験コーディネーターとして働く場合、病院と治験施設支援機関ちけんしせつしえんきかんの大きく2つに分けられます。

    いずれも仕事は、治験のための業務の流れがわかる図や症例を管理するための書類づくり、治験テストを受ける方への対応、治験を担当する医師との連携れんけいなど、様々あります。

  • ツアーナース

    園児の遠足、小・中学生の修学旅行や合宿などに同行して、健康管理を行う仕事です。会社の研修旅行やシニア旅行、海外旅行への付きそいなどの仕事もあります。

  • テーマパークなどの救護室

    遊園地やテーマパークに訪れた人または従業員に、万が一の事故やケガ、具合が悪くなった時に応急手当てをします。必要があれば、救急車を呼び病院へ搬送はんそうします。

  • 献血ルームまたは献血バス

    献血ルームは、日本で唯一、献血事業を行っている日本赤十字社にあります。社員として、献血ルームや献血バスで働きます。献血ルームに勤務する看護師を献血看護師といいます。

  • 健診・検診センター

    定期健診けんしん、ガン検診けんしん、人間ドックなどを行う健診・検診センターに、来院する人を看護します。検査がスムーズに行われるようにすること、検査に対する不安を軽減すること、異常の早期発見をすることなどが主な役割です。

    事前の問診もんしん、検査の介助かいじょ、採血、身長・体重・視力・聴力ちょうりょく・血圧・肺活量測定、尿にょう検査、眼底写真・眼圧測定、心電図、内科・婦人科診察しんさつ補助などがあります。

  • 美容クリニック

    ケガや病気の治療ちりょうが目的の病院とは異なり、美容医療いりょうを専門にあつかう医療機関を「美容クリニック」といいます。「美容整形外科」と「美容皮膚ひふ科」の大きく2つに分けることができます。

働く場面

  • 地域(訪問看護)

    訪問看護や在宅ケアなどを行っているデイケアセンターや訪問看護ステーションなど、地域の福祉施設ふくししせつで利用者の健康状態をサポートしたり、保健所、会社の医務室(産業看護師または企業きぎょう看護師)、養護の先生の資格がなくても仕事ができる大学や専門学校など学校の保健室でケガや病気の処置をしたり、妊産婦にんさんぷへの保健指導・相談、子育て支援しえんなど、地域医療いりょうの担い手として働きます。

  • 災害現場(DMAT、JMAT等)

    災害の発生現場で、救助活動とともに医療いりょう活動を行います。発生直後おおむね48時間以内に活動できる、専門的な訓練を受けた災害派遣医療さいがいはけんいりょうチームDMAT(ディーマット)の看護師として、関係機関と連携しながら活動します。

    DMATは、基本的に1チームおよそ5人、医師1人と看護師2人、業務調整員2人(救急救命士、薬剤師やくざいしなど医療職および事務職員)で構成されます。日本のDMATは、日本DMAT(厚生労働省によって発足)とと都道府県DMATの2つがあります。

    さらに日本医師会が組織する日本医師会災害医療チームJMAT(ジェイマット)もあります。こちらは、医師1人、看護職員(看護師や救急救命士)2人、医療保険事務職員1人を1チームとしています。DMATとのちがいは、活動開始時期と派遣期間です。災害発生から48時間以内に被災地ひさいちへ派遣され、3日程度で退くDMATを受けつぐ形で、JMATが避難所ひなんじょや救護所における医療活動を中心に、現地の医療体制が回復するまで医療支援を行います。

  • イベント対応

    スポーツ大会、マラソン大会、駅伝大会、モータースポーツなど、傷や心肺停止など予測できない急激な変化などリスクがあるイベントに、救護看護師として待機します。

仕事の様子を動画で見てみよう

04 どうしたらなれるの?進学フロー

看護師になるためには、国家資格「看護師資格」が必要です。文部科学大臣指定の学校または厚生労働大臣指定の看護師養成所を卒業し、看護師国家試験に合格すると看護師になれます。

進学フロー

インタビュー動画 実際に見てみよう

05 職業を知りたい時におすすめの漫画、書籍、ドラマなど
漫画おたんこナース佐々木倫子小学館
漫画Ns’あおいこしのりょう講談社
漫画ナイチンゲールの市街戦鈴木洋史 / 東裏友希小学館

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