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福島の医療

私たちの住む社会

福島県の人口は2021年4月現在で、約185万人となっています。年代別には、全体の約3割が65才以上の高齢者(こうれいしゃ)となっていて、2025年には高齢化が進んでいます。
2019年の子どもが生まれた数(出生数)は約11,500人と、毎年減少する流れにあります。その一方で、死亡した人(死亡数)は約25,000人と、生まれてきた子どもの数よりも多い状況(じょうきょう)です。
このように、人口にしめる高齢者の割合が増加し、出生率の低下によって若年者人口が減少する状況を「少子高齢化」と言い、福島県だけではなく全国的な課題となっています。

特に福島県では、2021年3月11日に発生した東日本大震災(だいしんさい)および東京電力福島第一原子力発電所事故が発生した後、県外へ避難(ひなん)したり、引っ越し(ひっこし)したりする人が増えたことによって、より一層「少子高齢化が進んだ」といわれています。

医療提供の現状と課題

福島県の病院数

福島県の病院数は126軒(けん)あり、人口10万人あたり6.8軒になっています。全国の病院数は8,300軒あり、人口10万人あたり6.6軒と、福島県の人口10万人あたりの軒数はほぼ同じ状況(じょうきょう)ですが、病院の軒数は毎年減少する流れにあります。軒数が減っている原因として、東日本大震災が大きく影響(えいきょう)しているといわれています。

福島県のしんりょう所数

福島県の診療所(しんりょうじょ)数は1,346軒あり、人口10万人あたり72.9軒となっています。全国の診療所数は102,616軒あり、人口10万人あたり81.3軒と、福島県の人口10万人あたりの軒数は、全国と比べると少ない状況になっています。診療所数は、毎年ほぼ同じ数で推移しています。みなさんも、家の近くに診療所があると安心できますよね。

福島県の医師の数

福島県の医療施設(いりょうしせつ)で働いている医師の数は、3,819人で、人口10万人あたりの数は204.9人となっています。全国の医療施設で働いている医師の数は311,963人で、人口10万人あたりの数は246.7人となっています。福島県の医師数は近年少しずつ増加していますが、人口10万人あたりの医療施設従事者数は全国平均よりも下回っている状況が続いています。

診療科(しんりょうか)別では、特に産婦人科や小児科などの特定の診療科において、医師が不足している現状があります。「1.私たちの住む社会」にあった、少子高齢化(しょうしこうれいか)の課題を解決するためにも、妊婦(にんぷ)が安心して赤ちゃんを産んで、育てられる環境(かんきょう)をつくることがとても重要になります。

3地域の違い

また、浜通り(はまどおり)・中通り・会津(あいづ)地方の3地域にも違い(ちがい)があります。
浜通りには、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響(えいきょう)による避難(ひなん)指示区域があるため、北側と南側に医療(いりょう)体制が分かれてしまう状況(じょうきょう)が発生しました。復興が進むにつれて避難指示区域も少しずつ小さくなり、住民がふるさとに帰ることができるようになったため、病院や診療所(しんりょうじょ)を再開したり、新たに開設したりしています。

中通りには、最先端(さいせんたん)の研究や難しい手術、くわしい検査ができる大学付属病院や総合病院があり、医師も多く働いています。診療所も多く、特に都市部に多く集まるという、かたよりが出てきています。
会津地方は、大雪の影響により訪問して患者(かんじゃ)をみることができない、医師が少ないなどの課題があります。また、山あいの地域では、病院が遠い場所にあり、住民がすぐに病院に行くことが難しいという課題もあります。
そのような課題を解決するため、県内3地域がたがいに連携(れんけい)を図って役割を分担し、医師を派遣(はけん)したり、夜間の救急患者の受け入れ体制を整えたりして、協力し合う体制をつくっています。

これからの福島の医療

今後、少子高齢化(しょうしこうれいか)が進み、医療(いりょう)や介護(かいご)がさらに必要になるといわれています。住民が、必要な時に医療や介護などを受けられるよう、医療だけではなく、介護、生活支援、病気の予防などの仕組みを整え、様々な分野の人が協力して、地域全体で取り組んでいくことが必要です。

みなさんも、オンライン医療学習プログラムをきっかけに、近所にどのような人が住んでいるのか、どのような助けを必要としているのかについて考えたり、町の中にあるAEDの場所や多機能トイレの場所を探したりして、身近な医療についても調べてみましょう。

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