君の未来をのぞいてみないか?
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保健師

赤ちゃんから高齢者まで、地域の人々の健康と生活を支える保健師が持つ道具と言えば

名刺窓口や訪問で相談を受ける時は、「はじめまして」がほとんどです。まずは、自己紹介から始めます。
はかる道具赤ちゃんの訪問には体重計、大人の人の訪問には血圧計など、健康状態を知るために使います。
パンフレット・資料いつでも必要な情報提供ができるように子育てや健康、制度などに関するパンフレットを準備しています。
メモ帳いろいろな分野の方々と出会い、お話を聞く機会があります。得られたアイディアやエピソードをメモし、日々の活動に生かします。

看護師は病気やケガをしている人を、助産師は妊婦や出産と出産後のお母さんと赤ちゃんを主な対象としますが、保健師は生まれたばかりの赤ちゃんから高齢者まで、健康な人も、病気や障がいを持っている人も含めた地域のあらゆる人が、その人らしく安心して暮らせるように、関係機関と協力して人々を見守り、健康なまちづくりを目指しています。

保健師の働くところは、大きく「行政保健師」「産業保健師」「学校保健師」の3つに分けることができます。病院で働く病院保健師、地域包括支援センターの保健師という分野もあります。

働く場所

行政保健師

行政保健師は、「都道府県保健師」と「市区町村保健師」に分けられます。正職員であれば公務員ですので、各自治体の採用試験に合格する必要があります。
都道府県や中核市の保健師の多くは、保健所※1に配属されています。保健所で難病やこころの健康に関する相談、感染症対策などを主に行います。また、管轄市区町村の健康問題を把握、分析しながら、その市区町村保健師に教育や指導などをする役割も求められます。
市区町村保健師は、主に役所や保健センター※1で働きます。乳幼児や妊婦、高齢者などすべての年代の、幅広い健康レベルの住民を対象に、住民に身近で地域に根差した健康づくりの活動を行っています。
都道府県保健師と市区町村保健師に共通する仕事として、予算書の作成、会議や研修の企画・運営に関わる資料作成、予算に関係する書類の作成などがあります。
※1「保健所」と「保健センター」の違い
保健所は、地域保健法に基づき、都道府県、政令指定都市、中核市などに設置するよう定められています。保健所は、より広範囲にわたることがらや専門的なことがらを扱います。そのため医師、薬剤師も含めたさまざまな専門職が働いています。一方、保健センターは、市区町村単位で設置されていて、住民に身近で利用頻度の高い保健サービスを提供する施設です。保健所と保健センターは、協力し合いながら住民の健康を支えるために設置されている機関です。

産業保健師

民間企業や病院などの社員・職員として勤務します。企業で働く保健師は、その企業に勤める社員の健康管理を行います。例えば生活習慣病予防や重症化防止のため、健康診断や健康相談、保健指導、情報発信(「健康ニュース」等の制作)などを行ったり、メンタル不調の予防や早期発見のために、ストレスチェックやフォローをしたり、体調不良やケガをした社員への応急手当、作業環境のチェック、定期的に開催される安全衛生会議の準備(資料作成など)を行います。

学校保健師

大学や専門学校、私立学校で学生や教職員の健康増進や健康管理、心のケアなどの相談に応じます。保育施設で働く保育園保健師もいます。
似ている職業に、小学校や中学校、高等学校で働く養護教諭がありますが、資格の取得の面で異なります。小学校や中学校、高等学校で働きたい場合は、保健師免許に加え養護教諭一種免許が必要です。

病院保健師

病院で働く場合は、病棟、外来、訪問看護、健診、検診など、多岐にわたります。院内で健康診断や健康相談を行うほか、通常の看護師の仕事と兼務する場合もありますが、配置先によって業務内容は大きく異なります。

地域包括支援センター

地域包括支援センター※2は、保健師のほかに主任ケアマネージャー、社会福祉士の3職種を原則配置することとされています。保健師は、その中で主に介護予防の分野を担います。
※2地域包括支援センター:高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるように、介護・医療・保健・福祉の専門家が支える「総合相談窓口」。 専門知識を持った職員が介護サービスや介護予防サービス、保健福祉サービス、日常生活支援、権利擁護などの相談に応じる。介護保険の申請窓口も担う。

働く場面

相談業務

配属された職場の窓口で、さまざまな相談に応じます。相談内容や心身の状態にあわせて、各機関の紹介や橋渡しなどの役割を務めます。

訪問業務

都道府県保健師:担当地区の難病患者や精神疾患患者、結核患者宅を訪問して、療養がきちんとできているかなどを、本人や家族に確認します。管轄の市役所や町村役場を訪問する仕事もあります。
市町村保健師:市町村で働く保健師の仕事には、大きく分けて「母子保健」「高齢者保健」「成人保健」の3種類があります。
母子保健の分野では新生児訪問、未熟児訪問、妊婦・産婦訪問、ハイリスク乳幼児訪問、ハイリスク妊産婦訪問などがあります。「新生児訪問」では、出産後、病院から自宅に戻った赤ちゃんの健康状態を確認したり、お母さんの子育ての不安や悩みを聞いたりして、支援するために行います。成人保健分野では、生活習慣病等の予防や健康の維持・増進のために、健康診断の結果から保健指導を行ったり、健康教室を実施したりしています。高齢者保健分野では、生活習慣病を持った一人暮らしの高齢者など、複数のリスクを抱えた対象者宅を訪問することが多くなります。
産業保健師:出先機関がある場合、定期的に出先機関を訪問します。こころの不調で自宅で療養中の社員宅を訪問することもあります。
地域包括支援センターの保健師:主に要介護・要支援の認定調査で訪問し、保健師は、主に要支援に該当した利用者の介護予防ケアプランを作成します。

乳幼児健康診査

法律で市町村ごとに1歳未満、1歳6か月~2歳、3~4歳の子どもに集団健診を行うことが決められていて、市町村保健師がその役割を担います。集団健診には、保健師のほかに栄養士、臨床心理士もいるので、いろいろな目で子どもの状態をみることができます。健診を行う時期やその内容は、自治体によって異なります。

高齢者支援

市町村保健師には、高齢者支援を担当する人や障がい者支援を担当する人もいます。高齢者支援では、病気やケガなどで困っている高齢者に福祉サービスを紹介したり、介護をする家族のフォローなども行ったりします。また、役所の窓口や電話で受ける相談のほかにも、地域で働く医師や看護師、地域包括支援センターの職員やケアマネージャーなどとも連携し、高齢者が住み慣れた場所でいつまでも生活できるように、さまざまな課題について話し合い、支援をしています。
また、介護を受けずに元気で長生きできるよう、食生活や運動の改善をすすめる介護予防の取り組みを行い、高齢者の健康寿命が延びるよう支援しています。

障がい者支援

市町村保健師で障がい者支援を担当する保健師は、身体的な障がいや、知的障がい、精神障がいを持つ人が、社会で暮らしていけるように相談や生活の支援を行います
入院している障がいを持った人の退院後の支援を病院から依頼されることもあります。
どうしたら住み慣れた地域で暮らせるか医師やソーシャルワーカー※3などと相談し、必要に応じた施設を紹介するなどの支援を行います。
※3ソーシャルワーカー:生活相談員のこと。医療、教育、福祉・介護などの業界において相談員として支援を行う職種の一種。

健康危機管理

行政で働く保健師は、感染症や災害など、命や健康に広い範囲で重大な危害が起きる恐れがある緊急事態のとき、避難所の衛生管理や、避難している人たちの健康管理を行います。災害が発生する前からも、どんな問題が起きてどう解決すればいいかを、地域の住民や関係する機関と協力して準備や計画を行います。

仕事の様子を動画で見てみよう

保健師は、人と関わることが好きな人に向いている職業です。看護師資格と保健師資格の両方の国家試験に合格して、国家資格を取得する必要があります。看護系の大学や一部の専門学校では、看護師と保健師の受験資格を同時に得られるところもあります。
看護師資格を取得した後、一度現場で働いてから保健師を目指す人もいます。また、保健師は訪問看護ステーションを開業することもできますし、開業保健師として独立する道もあります。

インタビュー動画 実際に見てみよう

ペーパーバック保健師ものがたり大阪府保健所の保健師活動を語り継ぐ会(著)せせらぎ出版
単行本保健師の継承語り―晴れの国おかやまから全国保健師長会岡山県支部(編集)ふくろう出版
単行本無名の語り―保健師が「家族」に出会う12の物語宮本ふみ(著)医学書院

360°ビュー

確認ドリル

  • 保健師の仕事には、訪問先の赤ちゃんの体重を量ったり、大人の人の血圧を測ったりすることも含まれる

  • 保健師は、乳幼児の健康診査や育児相談を行うが、生活習慣病予防の健康診断やがん検診などのアドバイスなどは行わない

  • 保健師は、赤ちゃんから高齢者まで様々な人の心とからだの健康を支え、健康なまちづくりを目指す役割をはたしている

  • 保健師は、都道府県や保健所、市区町村の役所や保健センターで働くため、民間企業や病院、学校等は含まれない

  • 保健師の仕事には、難病患者や精神疾患患者などの自宅訪問も含まれる

  • 民間企業等で働く産業保健師は、社員に対して生活習慣病の予防や、ケガをした場合の応急手当はするが、ストレスチェックなどのメンタル不調の予防をすることはない

  • 保健師が乳幼児健康診査の集団検診を行う場合には、栄養士や臨床心理士などと協力して、様々な視点から子どもの状態をみる

  • 保健師は、新型コロナウイルス感染症など命や健康に広い範囲で重大な危害が起きる恐れがある緊急事態が発生した時に、住民の健康についての窓口となる

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