理学療法士

01 秘密のポケット

体の基本的な動作の維持いじや回復のためのリハビリテーションを行う理学療法士りがくりょうほうしが使う道具と言えば

  • パルスオキシメーター

    にはさんで血中酸素飽和ほうわ度や脈拍みゃくはくのチェックをします。

  • ゴニオメーター

    関節の角度を測る道具です。手や足など測る部位によってさまざまな大きさや形があります。

  • メジャー

    患者かんじゃの身体の長さやサイズを測る時に使います。

02 どんな仕事をするの?

食べる、着がえる、おふろに入るなど日常生活に応用できるよう働きかける作業療法りょうほう(Occupational therapy)に対し、理学療法(Physical Therapy)は、立つ、歩くなどの基本動作の回復を目指したリハビリを行います。理学療法士(PT:Physical Therapist)は、こうした基本動作の練習のほかに、歩行訓練や筋力トレーニングなどの「運動療法」や、熱や電気の力で治療ちりょうする「物理療法」などを用いた理学療法によって治療を行います。

03 どんなところ(場所や場面)で働くの?

理学療法士の職場は、医療いりょう分野、福祉ふくし分野、介護かいご分野、保健分野のほかにも、教育・研究分野、健康・スポーツ分野など様々な場所、場面があります。

働く場所

  • 病院

    理学療法士の勤務先でもっとも多いのが病院です。病院の種類もさまざまです。① 急性期病院(病気発症はっしょう直後や手術後間もない患者かんじゃが対象)、② 回復期病院(急性期病院を経て状態が安定し、退院に向けて集中的なリハビリテーションを行う患者が対象)、③ 療養型りょうようがた病院(長期的な治療や療養が必要な人や介護かいごが必要な高齢者などが対象)などで、医師の指示のもと、運動療法やストレッチなどのリハビリテーションを行い、基本的な身体運動の機能回復をはかります。

  • クリニック(診療所しんりょうじょ

    医師の指示のもと、主に痛みや機能障害・運動器疾患しっかんなどで通院している患者かんじゃのリハビリテーションを進めます。

  • 老人ホーム

    介護認定を受けて施設しせつに入居している高齢者こうれいしゃが対象です。ケアマネジャーやソーシャルワーカーなどと連携れんけいを取りながら進めます。介護老人保健施設では、在宅復帰を目指したリハビリテーションを行います。老人福祉施設では、保たれている身体機能を生かして暮らす高齢者が少しでも暮らしやすくなるようなリハビリを行います。

  • 通所介護かいご(デイサービス)・通所リハビリテーション(デイケア)

    介護認定を受けている高齢者こうれいしゃが対象です。現在の生活レベルを維持いじできるようにリハビリテーションを進めます。

  • 訪問看護ステーション・訪問リハビリテーション

    介護かいご認定を受けている高齢者こうれいしゃが中心です。自宅へ訪問してリハビリテーションを行います。

  • 児童福祉施設ふくししせつ・身体障害者福祉施設

    主な施設に、児童発達支援しえんセンターや児童発達支援事業所、放課後等デイサービスなどがあります。障がいのある子どものリハビリテーションを行います。

  • 行政関係

    公務員として都道府県や市町村の保健所や保健センター、福祉ふくしセンターなどで働く理学療法士もいます。個別の相談支援しえんだけでなく、地域住民向けのリハビリテーション教室や介護かいご予防・生活習慣病予防のための指導、乳幼児健診けんしんでの運動発達面の評価など、幅広く取り組みます。

  • 教育・研究施設しせつ

    理学療法士を養成する学校の教員や、障がいのある子どもが通う特別支援しえん)学校(教員免許状めんきょじょう)が必要)の教員になる人、理学療法を研究する人もいます。

  • 民間企業きぎょう

    一定の経験を積んだ後、義肢ぎし装具やリハビリテーションの機器の開発を行っている民間企業等で、自身の知見を生かして働く理学療法士もいます。

  • 健康・スポーツ関連企業・スポーツチーム

    フィットネスクラブ、プロスポーツチーム、地域のクラブチームで、スポーツトレーナーとして理学療法士の知識を活かして働く人もいます。

働く場面

  • 災害現場(避難所ひなんじょでの支援しえん、被災者支援ひさいしゃしえん

    慣れない避難所生活では、仮設トイレまで行くのが大変だったり、寝不足ねぶそくになったり、食欲が落ちたりなど、元気な高齢者こうれいしゃでも様々な問題が発生します。障がいのある人には特に支援が必要です。災害の現場で理学療法士は、身体づくりと生活動作の専門家、災害派遣はけん医療いりょうチーム(DMAT:Disaster Medical Assistance Team)の一員として、体操指導や環境かんきょう整備、業務調整など担います。

  • 海外(国際協力)

    理学療法士として海外で働くためには、3つの方法があります。1つ目は日本で理学療法士の資格を取得してから、働きたい国の資格を取得する方法です。2つ目は、働きたい国の理学療法士資格を取得する方法です。3つ目は、青年海外協力隊などのボランティアスタッフとして海外に行く方法です。青年海外協力隊は「独立行政法人国際協力機構」(JICA)が行っているボランティア活動です。さまざまな専門職の方が開発途上国とじょうこくに出向き、自分が持っている知識や技術を現地で2年間活かす制度です。

    公益社団法人日本理学療法協会では、会員を対象に「国際活動への協力者の人材バンク登録」も行っています。

仕事の様子を動画で見てみよう

04 どうしたらなれるの?進学フロー

理学療法士は、国家資格です。国家試験の受験資格を得るためには、理学療法士養成校(文部科学大臣が指定した学校、または都道府県知事が指定した理学療法士養成施設)で3年以上学びます。基本は最短3~4年ですが、作業療法士取得者や視覚障害者などのルートで資格を取得する人もいます。

養成校には、4年制大学、3年制の短期大学、3年制または4年制の専門学校があります。視覚障がいのある人は、3年制の特別支援しえん学校で学ぶルートがあります。また、すでに作業療法士の資格を持っている人は、理学療法士養成校で学ぶ期間が少し短くなり2年以上学べば国家試験の受験資格が得られます。ほかにも外国の理学療法士養成校を卒業した人や、外国で理学療法士の免許めんきょを取得した人は、厚生労働大臣の認定を受ければ、受験資格が得られる場合があります。

養成校に年齢ねんれい制限はありません。高校や大学を卒業し、社会で働いてから理学療法士を目指す人もいます。

進学フロー

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